カタツムリの生態と飼育

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カタツムリがやってきた

オカヤドカリ用のガジュマルを沖縄のショップから購入したところ、ガジュマルの葉にカタツムリが付いており、近くに放すこともできず オカヤドカリの飼育アイテムを利用して飼育することにしました。

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葉についていたカタツムリは 黒く、体調 1.5 cm ほどで 貝の部分も破損している状態でした。

カタツムリの生態

カタツムリは 陸生の巻貝 ( 貝が退化したものがナメクジ ) で、乾燥と低温に弱いため、オカヤドカリと同じ高温多湿の環境で飼育します。

カタツムリは草食ですが、貝 を形成するためにカルシウムが必要なため、飼育下では 卵の殻 などを与えるのが一般的です。

カタツムリが ブロック塀に張り付いているのは、セメントから溶け出したカルシウムを摂取しているためです。

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レタス・きゅうり・にんじん・サニーレタス が好物で、驚くほど良く食べますが、同じ野菜でも 産地 が違うと全く食べないなど、オカヤドカリと同じ現象が見られました。

意外にもスーパーで 売っている 個人農家の「 ◯◯さんの野菜 」みたいな感じの サニーレタス と きゅうりは全く食べませんが、普通に販売してある サニーレタス と きゅうり はモリモリと食べるので、何かしらの違いがあるのだと思います。

活動時間

カタツムリは 夜行性 のため 強い光が苦手で、日中は 地中や落ち葉の下などに身を隠しています。
我が家のカタツムリは 毎晩 23時頃~翌 5 時頃まで活動してから地中に潜っていましたが、潜ったまま1週間ほど 出て来ないこともありました。

室内が明るいと夜間でも出て来ません。

寿命

カタツムリの寿命は身体の大きさに比例して長くなり、小型の殻の薄い種類は1年程度か それ以下だと言われています。

冬眠

カタツムリは 暖かければ冬眠しませんが、高温多湿の状態でも長期間 活動を停止することがあります。

寄生虫

カタツムリの寄生虫で有名なのは 広東住血線虫 ( かんとんじゅうけつせんちゅう ) で、カタツムリやナメクジの生食によって体内に入り、国内でも死亡事例が発生しています。

広東住血線虫の最終宿主はネズミで、広東住血線虫が寄生したネズミの糞を食べたナメクジやカタツムリが中間宿主になり、ナメクジやカタツムリを食べたカエルやトカゲが待機宿主になり、カエルやトカゲをネズミが食べて最終宿主になります。
沖縄では大型のカタツムリ アフリカマイマイスクミリンゴガイ などを食べているため、広東住血線虫症 の多くが沖縄で発生していますが、沖縄に旅行中に食べた生野菜が感染原因と考えられている症例もあります。

カタツムリの蓋 ( エピフラム )

カタツムリは湿度が低く乾燥してくると 身体の水分を保つため、貝の入り口に 膜 ( エピフラム ) を張って入り口を閉じてしまいます。

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エピフラム は カタツムリが出す 粘液 が乾燥して出来たもので、夏場に エピフラムを張って活動が休止状態になることを 夏眠 といいます。

エピフラムを張っている場合は 飼育環境の湿度が低いため、霧吹きの回数 や 量を増やすなど 水槽内の湿度を高める必要があります。

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カタツムリの粘液は 乾燥すると 白くなるので、春~夏には カタツムリの通り道 が白くなって残ります。

カタツムリの粘液は 粘液糖タンパク質の混合物質 グリコサミノグリカン ( ムコ多糖 ) の一種 ムチン が主成分で、ムチンは水溶性のため 水分があると水に溶け、乾燥すると ムコ多糖 が残って白い物質として見えるようになります。
グリコサミノグリカン には コンドロイチン硫酸やヒアルロン酸などがあり、カタツムリの粘液に含まれる ムチンやアラントインも肌に良いらしく、韓国コスメでは カタツムリの粘液を使用した化粧品が販売されていたりします。

カタツムリの飼育

カタツムリは森林などに生息しているので、飼育する場合は 土 や 落ち葉 などで自然に近い環境を作るのが一般的です。

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我が家のカタツムリは 出会いがイレギュラーだったため、サンゴ砂・流木・石灰石 などオカヤドカリと同じ飼育環境で、餌入れには 二枚貝を使用しました。

サンゴ砂は塩分が気になったため、新しいものではなく何度か洗って天日干しをしたもの使用しています。

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水入れは使用せず、野菜や餌入れ、水槽の壁面に 水滴が付く程度に 浄水を霧吹きで 毎日 与えます。

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カタツムリは 砂に隠れる程度しか潜らないので、床砂の厚みは5cm 程度にし、水槽内を 雨上がり のような ジメジメした状態にすると 夏眠することもなく活発になります。

床砂の交換は オカヤドカリと同じタイミングでしていたので 1~2ヶ月に1回程度です。

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餌を食べた形跡があれば 新鮮なものと交換します。

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サンゴ砂を使用しているためか 卵の殻 に無反応だったので、オカヤドカリが見向きもしなかったカトルボーンを与えると、気に入った様子で上に乗っていました。

越冬

冬眠 は カタツムリも負担が大きいため、ヒーター や 断熱シートを使用して 冬眠 を回避します。

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乾燥を防ぐため水槽の蓋は ラップで塞ぎ、周囲を断熱シートで囲い、水槽の底から シートタイプのヒーターで暖めます。

水槽内が汚れてきたら、予備の水槽をセッティングしてヒーターで温度調整を行い、夜になってカタツムリが顔を出したところで水槽を入れ替えます。

飼育レポート

カタツムリは完全な夜行性で光を嫌うため、活動している姿を見ることが稀で、餌の減り具合や移動した跡などを見て無事を確認し、毎日のように餌を替えて霧吹きをします。

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発見時は貝が大きく損傷していましたが、それなりに元気な感じでした。

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2週間ほど経過すると貝が徐々に修復されていきます。

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2ヶ月経過すると随分と修復されました。

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6月になってから3日ほど地中から出てこないことがあり、何度かエピフラムを張って長い時は2週間ほど夏眠していましたが、水槽内をジメジメするような環境にしてからは 活発になりました。

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4ヶ月経過する頃には カタツムリ本体が成長したように感じますが、貝は2ヶ月目からあまり変わっていないので、完全修復はしないのだと思われます。

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貝が砂に埋まったまま 身体を伸ばして食べるような横着をすることも。

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身体は結構 伸びます。

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2019年12月12日の様子です。
冬眠せずに活動しています。

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冬対策が奏功して 冬眠することなく越冬しました。

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2019年 5月から飼育を始め 1年近く経ち カタツムリは成長したとはいえ、寿命は1年程度の小型であることに変わりはなく、2020年 4 月に20日ほど 砂から出てこなくなった時は 死を覚悟しましたが、何事もなかったように出てきて、それからも よく食べ、まったく寿命など感じさせない日が続きました。

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カタツムリの様子に変化が出始めたのは9月になってからで、食欲は以前として旺盛でしたが 日中も地表で寝るようになり、9月13日の夜 水槽の壁面を這っている姿を見ていると、吸着力を失った吸盤のように壁面から落ち、そのまま殻に籠もって動かなくなりました。

最後の力を振り絞って姿を見せてくれたのか、我が家へ来てから1年4ヶ月、大往生だった思います。