オカヤドカリと観葉植物

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飼育環境

飼育ケース内への植物の設置について

飼育ケース内への植物設置には否定的な意見も散見されますが、オカヤドカリは野菜よりも アダンガジュマル を好んで食べるので、観賞用ではなく食用として水槽内に設置するのはオカヤドカリの健康のためにも悪いことではありません。

オカヤドカリはエサの好き嫌いが激しく、野菜は特に難しいですが、アダンやガジュマルは葉だけでなく、根や幹も食べるので、オカヤドカリが成長してくると3号サイズのアダンであれば2株が3ヶ月ほどで消耗します。

「号」は植木鉢(ポット)の直径を表し、1号は1寸(3.0303cm)なので、3号は直径が約9cmのポット。

ガジュマル

多幸の木とも呼ばれるウネウネと絡まった「気根」が特徴のガジュマルは、亜熱帯~熱帯に分布するクワ科イチジク属の植物で、寒さと乾燥に弱い ですが飼育ケース内の環境は生育に適しているため、設置しているだけで育ちます。

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耐陰性もありますが基本的に日光を好むので、観賞用植物育成 LEDライトを使用すると成長しやすくなります。

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ガジュマルは枝葉だけでなく樹皮や幹も食べるので、ある程度育ったオカヤドカリであれば3号ほどのガジュマルを1~2ヶ月で再起不能にすることもあります。

アダン

アダンはタコノキ科タコノキ属の植物で、ガジュマルと同じく亜熱帯~熱帯に分布し、市販されているものはススキの葉のような感じになっていますが、草ではなく常緑小高木に区分される樹木です。

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葉に棘があるので取り扱いは厄介ですが、耐寒性・耐陰性があって乾燥にも強いので、日当たりが良ければしっかりとした葉を次々に伸ばすのでガジュマルよりもコスパは良いです。

観葉植物設置の注意点

オカヤドカリの水槽内に鉢植えを設置する際は農薬や土、設置後は乾燥と乾燥による赤ダニの発生に注意が必要です。

農薬

ガジュマルにはハダニ・アブラムシ・ナメクジなどが発生するので、防虫剤や殺虫剤が使用されていることが多く、農薬の種類も表面に付着しているだけのものから植物内部に浸透しているものまであり、実際に使用している農薬の種類は苗農家などに確認しないと分からないため、無農薬で販売されているものを使用するか、枝葉を水で洗浄して無農薬の環境に植え替えて1~2ヶ月ほど育てる農薬抜きが必要になります。

土とハイドロカルチャー

無農薬で土を使用している鉢植えはダニなどが発生しやすいため 水槽内の衛生管理が不可欠で、土を使用しないハイドロカルチャーは ハイドロボールにオカヤドカリが潜って、サイズが小さいオカヤドカリがハイドロボール内で身動きが取れなくなって死に至る危険がある ため、ハイドロカルチャーの鉢植えを設置する場合はオカヤドカリが潜れなくするなどの工夫が必要になります。

ハイドロカルチャー は 土の代わりにハイドロボールという人工土を使用するため、土植えと違って虫が発生することがなく衛生的ですが、根腐れが発生しやすいというデメリットがあります。

植物の根は地中の酸素を取り込み 二酸化炭素を排出しているので、水のやりすぎで地中の根が水没してしまうと、始めは水中から酸素を吸収するものの冠水状態が持続すると酸素不足に陥るため、自身の生存を図る手段として根の細胞を破壊する「根腐れ」が発生します。
根腐れが発生するような環境には根腐病の原因であるフザリウム菌が繁殖しやすく、フザリウム菌に冒されて根腐病を発症することもあります。


ガジュマルもアダンも耐陰性がある植物ですが、観賞用植物育成 LEDライトを使用すると水槽内で成長しやすく、実際に設置するとアダンの葉の色が目に見えて緑色が濃くなり、葉もハリがあってしっかりとしたものになりました。

朝から夕方までLEDライトをつけていますが、オカヤドカリが嫌がる様子はありません。

アダンの直植え

アダンは生命力が強く水はけが良い土壌を好む植物で、サンゴ砂でもしっかりとした根を張って育つので、床砂に直植えしています。

乾燥すると「赤ダニ」が発生して葉が枯れてしまうので霧吹きは必須です。

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直植えの問題は床砂を交換する度に植え直しが必要になることと、オカヤドカリがアダンの根を切り取って食べるため、床砂を掃除する際にアダンの根が結構な量で出てくることです。

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赤ダニが発生した場合は水圧をかけて洗い流し、落ちないものは歯ブラシなどで除去します。

サンゴ砂を使ったガジュマルの鉢植え

土やハイドロカルチャーのリスクを回避するため、ガジュマルは土の代わりにサンゴ砂を使った鉢植えにしています。

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ハイドロカルチャーはポットに5分の1ほど水を入れるため、小さなオカヤドカリなら潜って溺死するリスクもありますが、底に水抜き用の穴がある 植木鉢を使用するので水が貯まることもなく、サンゴ砂を使用すれば土のように虫が発生することもありません。

植え替える際に出る土を公園や河原などに捨てると不法投棄になるので、自治体の HPで廃棄方法を確認してください。
(少量であればゴミとして処分できるはずです。)

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オカヤドカリが小さい時は植木鉢に潜らないよう念のため貝や枝サンゴなどでガードしていました。

オカヤドカリが成長してくると植木鉢に潜っても植えているガジュマルを倒すようになり、更に成長すると植木鉢に潜ることもなくなります。

ガジュマルの葉が黄色に変色

ガジュマルは 乾燥・気温・日照不足 など環境が悪いと 葉が黄色に変色 し、気温が5℃以下の環境では葉が落ちてしまうため、葉が変色した場合は室内の気温やガジュマルの設置場所の見直しが必要です。

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植物は根だけでなく葉からも吸水するため、乾燥する季節や室内でエアコンを入れている時は霧吹きで葉に水分を与え、エアコンの風が直接あたらないようにします。

冬場の水やりは土が乾燥したら与える程度で良いですが、葉水は冬場でも毎日行います。

植物の葉の表面には ワックス層 があり、ワックス層の下は油脂を成分とする透明の膜で覆われているクチクラ層(キューティクル)があります。
ワックス層とクチクラ層は葉を完全に覆っているわけではなく、切れ目や溝のようなものがあり、そこから水が染み込んで細胞壁から細胞まで浸透します。

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オカヤドカリが成長してくると食べる量も破壊力も増大し、ガジュマルの回復力が追いつかないため、ダメージを受けたガジュマルはアクリル板と植物用ライトを使って作成したお手製のリカバリールームで療養し、状況に応じて随時入れ替えを行っています。

リカバリールームの制作
オカヤドカリから受けたダメージを回復させつつ、ガジュマルの葉が黄色に変色するのを防ぐため、保湿 と 保温、日照不足を考慮した ガジュマル用のリカバリールーム を制作。

サンゴ砂は養分がないため、液体肥料を使用していますが、それでもオカヤドカリに剪定されて丸裸になったガジュマルが新芽をつけるのは2回が限界で、3度目のリカバリでは新芽がほとんど成長しません。