カタツムリがやってきた 〜生態と飼育〜

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飼育の記録

出会いから別れまで

オカヤドカリ用のガジュマルを沖縄のショップから購入したところ、ガジュマルの葉にカタツムリが付いていました。「沖縄産の個体を本州の自然に放せば外来種になるのでは?」という懸念から、近くに放すわけにもいかず、オカヤドカリの飼育アイテムを利用して飼育することにしました。

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ガジュマルの葉についていた沖縄産のカタツムリ

飼育を始めたのは2019年5月で、奇しくもオカヤドカリを飼育し始めてからちょうど1年経った頃でした。
発見時は全体的に黒っぽく、体長1.5cmほどで、貝が大きく損傷していましたが、それなりに元気な感じでした。

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4ヶ月目のカタツムリ

時間の経過とともに貝は徐々に修復されていき、2ヶ月経過する頃には随分と修復されました。ただし、2ヶ月を過ぎてからは、成長するのはカタツムリ本体のみで、貝の修復は止まってしまった感じでした。

6月になってから3日ほど地中から出てこないことがあり、何度かエピフラムを張って長い時は2週間ほど夏眠するようになりました。調べたところ、エピフラムや夏眠は乾燥が原因ということだったため、水槽内の水分量を増やし、ジメジメするような環境にしてからは、活発に動くようになりました。

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ニンジンを食べるカタツムリ

貝が砂に埋まったまま身体を伸ばして食べるような横着をすることもあり、身体は結構伸びます。
寒くなってからは断熱シートやシートタイプのヒーターなどで保温と保湿を徹底した結果、冬眠することなく越冬しました。

飼育しているカタツムリは寿命が1年程度の小型のもので、2020年4月に20日ほど砂から出てこなくなった際は死を覚悟しました。しかし、その後は何事もなかったように出てきて、食欲も旺盛で、まったく寿命など感じさせない日が続きました。

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砂に潜らずに休むようになったカタツムリ

様子に変化が出始めたのは9月になってからです。食欲は依然として旺盛でしたが、日中も地表で寝るようになりました。そして9月13日の夜、水槽の壁面を這っている姿を見ていると、吸着力を失った吸盤のように壁面から落ち、そのまま殻に籠もって動かなくなりました。

最後の力を振り絞って姿を見せてくれたのか。我が家へ来てから1年4ヶ月、大往生だったと思います。

カタツムリの生態と飼育

ここからは、飼育中に調べたことや参考にした情報をまとめます。

基本的な生態

カタツムリは陸生の巻貝で、ナメクジは陸貝のうち殻が縮小・内在化した系統の総称です(単一の進化経路ではなく、複数系統で独立に起きた変化とされています)。乾燥と低温に弱いため、オカヤドカリと同じ高温多湿の環境で飼育します。

夜行性のため強い光が苦手で、日中は地中や落ち葉の下などに身を隠しています。我が家のカタツムリは毎晩23時頃〜翌5時頃まで活動してから地中に潜っていましたが、潜ったまま1週間ほど出て来ないこともありました。室内が明るいと夜間でも出て来ません。

寿命は身体の大きさに比例して長くなる傾向があり、小型で殻の薄い種類は1年程度かそれ以下とされています。暖かければ冬眠しませんが、高温多湿の状態でも長期間活動を停止することがあります。

餌とカルシウム

草食ですが、殻を形成するためにカルシウムが必要で、飼育下では卵の殻などを与えるのが一般的です。カタツムリがブロック塀に張り付いているのは、コンクリートに含まれるカルシウム分を舐め取っているためです。

レタス・きゅうり・にんじん・サニーレタスが好物で、驚くほど良く食べますが、同じ野菜でも産地が違うと全く食べないなど、オカヤドカリと同じ現象が見られました。意外にもスーパーで売っている個人農家の「◯◯さんの野菜」みたいな感じのサニーレタスとキュウリは全く食べませんが、普通に販売してあるサニーレタスとキュウリはモリモリと食べるので、何かしらの違いがあるのだと思います。

我が家ではサンゴ砂を使用しているためか卵の殻に無反応だったので、オカヤドカリが見向きもしなかったカトルボーンを与えると、気に入った様子で上に乗っていました。

エピフラムと粘液

湿度が低く乾燥してくると、カタツムリは身体の水分を保つため、貝の入り口に膜(エピフラム)を張って閉じてしまいます。エピフラムはカタツムリが出す粘液が乾燥して出来たもので、夏場にエピフラムを張って活動が休止状態になることを夏眠といいます。

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エピフラムを張った状態

エピフラムを張っている場合は飼育環境の湿度が低いため、霧吹きの回数や量を増やすなど水槽内の湿度を高める必要があります。

粘液は乾燥すると白くなるので、春〜夏にはカタツムリの通り道が白くなって残ります。主成分はムチン(糖タンパク質)で、水溶性のため水分があると溶け、乾燥すると残って白い物質として見えるようになります。なお韓国コスメなどでは、この粘液を配合した化粧品が販売されています。

寄生虫の注意

カタツムリの寄生虫で知られるのは広東住血線虫(かんとんじゅうけつせんちゅう)で、カタツムリやナメクジの生食、あるいは粘液が付着した生野菜の摂取などにより感染し、国内でも死亡事例が発生しています。

最終宿主はネズミで、ネズミの糞を介してカタツムリ・ナメクジが中間宿主となり、それらを食べたカエルやトカゲが待機宿主(体内で成長せず保持するだけの宿主)となります。沖縄では大型のアフリカマイマイやスクミリンゴガイが生息しているため、広東住血線虫症の多くが沖縄で発生していますが、旅行中に食べた生野菜が感染源と考えられる症例もあります。

飼育中にカタツムリに触れた後は、手洗いを徹底してください。

飼育環境

本来は森林などに生息しているため、土や落ち葉で自然に近い環境を作るのが一般的です。我が家は出会いがイレギュラーだったため、サンゴ砂・流木・石灰石などオカヤドカリと同じ飼育環境で、餌入れには二枚貝を使用しました。サンゴ砂は塩分が気になったため、何度か洗って天日干しをしたものを使用しています。

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サンゴ砂と流木、二枚貝を使用

水入れは使わず、野菜や餌入れ、水槽の壁面に水滴が付く程度に浄水を霧吹きで毎日与えます。砂に隠れる程度しか潜らないので、床砂の厚みは5cm程度にし、水槽内を雨上がりのようなジメジメした状態にすると夏眠することもなく活発になります。

床砂の交換はオカヤドカリと同じタイミングで1〜2ヶ月に1回程度。餌を食べた形跡があれば新鮮なものと交換します。

越冬の工夫

冬眠はカタツムリも負担が大きいため、ヒーターや断熱シートを使用して冬眠を回避しています。乾燥を防ぐため水槽の蓋はラップで塞ぎ、周囲を断熱シートで囲い、水槽の底からシートタイプのヒーターで暖めます。

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冬は保温と保湿を徹底

水槽内が汚れてきたら予備の水槽をセッティングしてヒーターで温度調整を行い、夜になってカタツムリが顔を出したところで水槽を入れ替えます。

更新履歴

  • 2026/04/12:サイトリニューアルに伴い、全面的にリライト
  • 2019/05/22:初版公開

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