分類と種類
オカヤドカリは熱帯域に分布するヤドカリの仲間で、甲殻類(甲殻亜門)の エビ目(十脚目)・ヤドカリ下目・オカヤドカリ科・オカヤドカリ属 に分類され、国内では小笠原諸島と南西諸島に生息しています。
十脚目の名の通り エビ や カニ など甲殻類の脚は5対10本あり、オカヤドカリは 後ろ2対の脚で貝殻を背負っているので 普通に見えている部分は ハサミを入れて 3対6本 です。
日本には7種類のオカヤドカリが確認されており、C.cavipes という種が一般的に オカヤドカリと呼ばれていますが、販売されているのは ムラサキオカヤドカリ ( C. purpureus ) と ナキオカヤドカリ ( C. rugosus ) が多く、ムラサキオカヤドカリ も ナキオカヤドカリも 販売時には区別されていません。

ムラサキオカヤドカリ
ムラサキオカヤドカリ は 名前のとおり 身体が 青みを帯びていて、個体によっては美しいグラデーションになっています。

ナキオカヤドカリ
ナキオカヤドカリの 身体は 茶褐色なので ムラサキオカヤドカリ に比べると見た目は地味になります。
オカヤドカリのハサミは左右が非対称で、左のハサミが大きく 右が小さくなっています。
国の天然記念物
国産のオカヤドカリは 国の天然記念物に指定されていますが、絶滅のおそれのある野生動植物でも 特別天然記念物でもないため、一般に販売されているオカヤドカリは国の許可を得た業者が捕獲したものです。

のんのんびより 49話
国の許可を得ていない一般人が 沖縄の海岸でオカヤドカリを見つけて持ち帰ると 文化財保護法違反 ( 5年以下の懲役 若しくは禁錮 又は30万円以下の罰金 ) になります。
寿命
オカヤドカリには20~30年という長寿の個体も確認されていますが、 飼育下では10年程度と言われています。
飼育下での死因は、温湿度の管理不足や飼育ケース内の衛生管理不足のほか、エサの偏りによる共食い、宿貝の強奪、脱皮中の個体に対する攻撃、脱皮の失敗などで、事故による死亡リスクを軽減するためにも 大きめの 飼育ケース でしっかりと 床砂 を敷した環境での飼育が推奨されます。


エサ
自然界では 植物の葉 や 実、海藻、魚の死骸 のほか 人間の残飯 なども食べており、海の掃除屋という微妙な二つ名を持っています。
飼育下でも植物性と動物性のエサをバランスよく与える必要がありますが、オカヤドカリはエサの好き嫌いが激しく、同じ野菜でも産地が違うと食べなくなるなどデリケートなため、飼育しながら よく食べるエサ の探究が必要です。

脱皮
オカヤドカリは脱皮を繰り返して成長し、脱皮のタイミングは 神経分泌・内分泌系の変化のほか、自然条件 や 外傷などによる歩脚の切断で促進されます。
外殻をある程度まで分解して カルシウムを吸収した後、古い外殻を脱ぎ捨て 新しい外殻が固まるまでが 脱皮のプロセスで、脱皮の期間はおおむねオカヤドカリの大きさに比例して長くなる傾向があり、2週間から長ければ2ヶ月程度は床砂に潜って脱皮します。

呼吸
陸棲のオカヤドカリには水棲の名残があり、甲部でエラ呼吸、腹部で皮膚呼吸 をしていて、エラ呼吸も皮膚呼吸も湿った状態でなければ空気中の酸素を取り込めないため、飼育ケース内の湿度管理は重要で、宿貝の中には乾燥しないよう少量の水を貯めていますが、乾燥した状態が続くと呼吸困難に陥り窒息死する可能性があります。
繁殖
オカヤドカリの繁殖は エビ や カニと同じで、メスは抱卵して卵が成長してくると海中に ゾエアという幼生(プランクトン)を放出し、海中で成長したゾエアが陸に戻ってから貝を背負います。
飼育下での繁殖は 抱卵したメスが ゾエア を 海水に 放出できる環境と、放出された大量の ゾエア を海水内で育成し、海から陸に上がって宿貝を背負うまでの環境が必要になります。