飼育ケースに植物を設置する目的
飼育ケース内への植物設置には否定的な意見も散見されますが、オカヤドカリは野菜よりもアダンやガジュマルを好んで食べるため、観賞用ではなく食用として設置することにはメリットがあります。
オカヤドカリはエサの好き嫌いが激しく、野菜は産地が変わるだけでも食べなくなることがありますが、アダンやガジュマルは葉だけでなく根や幹も食べるため、安定した植物性の食餌源になります。
ただし、タンパク質やカルシウムなど必須の栄養素を補えないため、別途クルミや乾燥シュリンプ、ポップコーンなども必要です。
🐚オカヤドカリが小さい(市販のSサイズ程度)であれば、植物の成長速度とオカヤドカリが食べる速度が拮抗するため、アダンなど成長の早い植物であれば、コストパフォーマンスは高いです。
ただし、成長(市販のMサイズ程度)した4~5匹のオカヤドカリの場合、植物の成長速度よりも食べる速度が早く、3号ポット(直径約9cmの植木鉢)のアダンの場合は3ヶ月ほどで消耗します。ガジュマルの場合も、枝葉がすべて刈り取っられ、幹も食べるため、回復は難しい状態になります。
設置に適した植物
飼育ケース内の高温多湿な環境に適応でき、オカヤドカリが食べても安全な植物は限られます。入手が容易で安全なのはガジュマルとアダン2種です。
ガジュマル
ガジュマルはクワ科イチジク属の常緑樹で、亜熱帯〜熱帯に分布しています。「多幸の木」とも呼ばれ、うねるように絡まった気根(きこん)が特徴です。

寒さと乾燥に弱い植物ですが、飼育ケース内の高温多湿な環境は生育に適しており、設置するだけで育ちます。耐陰性もありますが、基本的に日光を好む植物です。
オカヤドカリは枝葉だけでなく樹皮や幹も食べるため、ある程度育った個体であれば3号ほどのガジュマルを1〜2ヶ月で再起不能にすることもあります。
ガジュマルの葉が黄色に変色する原因
ガジュマルは乾燥・低温・日照不足など環境が悪化すると葉が黄色に変色します。そのためケース内では変色しにくいですが、室内や冬季の屋外に置いている場合に変色しやすく、気温が5℃以下の環境では落葉してしまいます。
アダン
アダンはタコノキ科タコノキ属の植物で、ガジュマルと同じく亜熱帯〜熱帯に分布しています。市販されているものはススキの葉のような外見ですが、草ではなく常緑小高木に分類される樹木です。

葉に棘があるため取り扱いには注意が必要ですが、耐寒性・耐陰性があり乾燥にも強いため、日当たりがよければ次々にしっかりとした葉を伸ばします。消耗と再生のバランスでみると、ガジュマルよりもコストパフォーマンスに優れています。
🐚乾燥すると赤ダニが発生して葉が枯れる原因になります。発生した場合は水圧をかけて洗い流し、落ちないものは歯ブラシなどで除去します。日常的な霧吹きが最も効果的な予防策です。
その他の植物について
ガジュマルやアダンのほかに、ハイビスカス、オリヅルラン、バナナなどが食用には適していますが、いずれも観賞用や園芸用として販売されており、無農薬のものは入手が困難です。また、販売価格もガジュマルやアダンと比較して高く、消耗品としてはオススメできません。
また、苔類は湿度の維持に役立ち、ビタミンやミネラルを含む食餌源にもなりますが、床砂の表面を広く覆うとオカヤドカリが潜りにくくなるため、流木や壁面など限定的な配置が適しています。
🐚ポトスを設置する例も見られますが、ポトスにはシュウ酸(oxalate)が含まれており、カルシウムの吸収を阻害する可能性が指摘されているため、設置は避けた方が無難です。
植え方と設置方法
飼育ケース内に植物を設置する方法は、鉢植えと直植えの2つがあります。土やハイドロカルチャー(ハイドロボール)にはリスクがあるため、いずれの方法でもサンゴ砂の使用を推奨します。
床砂が湿っているため、ケースに霧吹きをするタイミングで、植物にも霧吹きをします。別途の水やりは基本的に不要です。
鉢植え(サンゴ砂使用)
土の代わりにサンゴ砂を使って植木鉢に植える方法です。底に水抜き穴がある通常の植木鉢を使用するため、ハイドロカルチャーのように水が溜まることがなく、サンゴ砂を使うことで土のように虫が発生するリスクも回避できます。
🐚土を使用した鉢植え は、ダニなどが発生しやすいため、ケース内の衛生管理に手間がかかります。

オカヤドカリが小さいうちは植木鉢に潜り込むことがあるため、貝や枝サンゴなどで鉢の周囲をガードしておくと安心です。成長してくると植木鉢に潜っても植えているガジュマルを倒すようになり、さらに大きくなると潜ること自体がなくなります。
🐚ケース内ではオカヤドカリの安全を優先し、肥料は使用しません。
直植え
アダンは生命力が強く水はけのよい土壌を好むため、サンゴ砂に直接植えてもしっかりとした根を張って育ちます。
ただし、床砂を交換するたびに植え直しが必要になることと、オカヤドカリがアダンの根を切り取って食べるため、掃除の際に根がかなりの量で出てくることが直植えの課題です。
ハイドロカルチャー
ハイドロカルチャー は、土の代わりにハイドロボール(人工の粒状土)を使用するため衛生面では優れていますが、サイズの小さいオカヤドカリがハイドロボールの隙間に潜り込み、身動きが取れなくなって死に至る危険があります。さらにハイドロカルチャーのポットには5分の1ほど水を入れるため、潜った個体が溺死するリスクもあります。
ハイドロカルチャーの鉢植えを使用する場合は、オカヤドカリが潜れないようにする工夫が不可欠です。
🐚ハイドロカルチャーでは根腐れが発生しやすいというデメリットもあります。植物の根は地中の酸素を取り込み二酸化炭素を排出しているため、水のやりすぎで根が冠水状態になると酸素不足に陥り、自身の生存を図る手段として根の細胞を破壊する「根腐れ」が起こります。
根腐れが発生するような環境にはフザリウム菌が繁殖しやすく、根腐病を発症することもあります。
植物育成LEDライトの活用
ガジュマルもアダンも耐陰性がある植物ですが、植物育成LEDライトを使用すると飼育ケース内でも生育が促進されます。
実際にLEDライトを設置したところ、アダンの葉の色が目に見えて濃くなり、葉にハリが出てしっかりとしたものになりました。朝から夕方までLEDライトを点灯していますが、オカヤドカリが嫌がる様子はありません。
🐚LEDは植物育成用の太陽光や白色系を使用しています。現在はLEDライトを固定する枠を木材で作り、ケースの上に設置しています。以前は、クリップ付きでアームのあるものを使用していました。
設置前の準備
植物を飼育ケースに入れる前に、農薬と土への対処が必要です。
農薬への対処
ガジュマルにはハダニ・アブラムシ・ナメクジなどが発生するため、防虫剤や殺虫剤が使用されていることが多く、農薬の種類も表面に付着しているものから植物内部に浸透している(浸透性農薬)ものまであります。
実際に使用されている農薬の種類は苗農家などに確認しないと分からないため、以下のいずれかの対処が必要です。
土の処理と植え替え
購入した苗が土に植えられている場合は、サンゴ砂への植え替えを行います。根を傷めないよう丁寧に土を落とし、水で洗浄してからサンゴ砂に植え替えます。
🐚植え替え時に出た土を公園や河原に捨てると不法投棄にあたるため、自治体のウェブサイトで廃棄方法を確認してください。少量であればゴミとして処分できる自治体がほとんどです。
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